「キャンプで後悔しない」食べ物の管理方法
こんにちは”キャンプ育”トレーナーのRockです。
キャンプと言えばキャンプ飯!家族や友人や子ども達と野外で食べるご飯は最高ですよね。
でも野外で食べ物を食べるなら注意しなくてはいけない事があります。それは・・・食中毒です。日本の食中毒発生状況は飲食店や家庭が主ですが、野外で自分たちで食品を管理&調理するにはより注意が必要になっきます。
キャンプで料理するには用意した食材を暫く保管しておく必要がありますし、宿泊を伴うキャンプなら温度管理も大切になってきますよね。
野外で食べるのは最高なのですが、少し気が緩んで食べ物の管理を怠ると家族全員が病院送りに・・・なんて事も考えられるのでしっかりとした知識を知っておく事が大切です。
今回は気を付けるべき食中毒の種類と予防方法というお話です。
目次
キャンプでの食材管理時に気を付ける事
基本的にどの食中毒にも共通して気を付ける事が
- 常温で長時間持ち歩かない
- 生ものを触った道具や手袋で他の物を触らない
- まな板や包丁など調理道具は食材毎に分ける
- 調理器具はこまめに洗浄、殺菌する
- 作ったら直ぐに食べる
- 作り置いたものを翌日に持ち越さない
- クーラーボックスはなるべく開けない
- 10℃以下、60℃以上の保存
などです。
キャンプしているとやる事が多いです。ついつい生の食材を触ったトングで調理した食材をとってしまったり、完成したあと一息ついて結構な時間放置してしまったり。意識していない時に菌を付着&倍増させてしまっている事があるのです。
気温の高い夏場や連泊するキャンプはかなり性能のいいクーラーボックスやポータブル冷蔵庫などの導入も検討してもいいと思います。高価ですが安全を考えたら安く感じるかもしれません。
食中毒の原因となるもの
食中毒は細菌性、ウィルス性、科学物質、重金属、カビ菌など複数の分類があります。キノコやフグの様な自然毒を持っている動植物だっていますよね。
今回は細菌性のものを簡単にご紹介致します。意外と熱に強いものも多く「熱したから大丈夫」が通じない種類もあります。
覚える必要はありませんが家族や友人の安全の為にもある程度知っておく事が大切です。
ノロウイルス(ウィルス性)
細菌性&ウィルス性の食中毒を合わせてもトップ3に入ります。
多くは調理従事者からの二次汚染が原因です。人に感受性(人に対して反応する)を持ち便が下水道から河川や、沿岸海水を汚染します。その海域で生息している二枚貝がウィルスを取り込み原因となります。
症状
1~2日の潜伏期間。吐き気や嘔吐、腹痛、下痢、発熱が起こります。感染しても無症状の場合もあり(感染は広がる)。
予防策
- 十分な手洗い
- 手袋は使い捨て
- 食品の十分な加熱
- 二枚貝などは85~90℃・90秒以上加熱
- 調理器具の洗浄
- 胃腸炎症状のあるものは調理しない
サルモネラ属菌(細菌性)
自然界に広く生息し、哺乳類、鳥類、爬虫類などから検出されます。食べ物は食肉、鶏肉、卵、ウナギ、スッポンなどが汚染されている事があります。
症状
12~48時間の潜伏期間後腸炎を起こし、下痢、発熱、腹痛、重症化の死亡例あり。
予防策
- 食肉は低温で管理
- 調理する時は中心部まで良く加熱
- 卵、食肉や未加熱の食材に触れた手や調理器具はその都度洗浄
腸炎ピブリオ(細菌性)
沿岸の海水中に生息していて水温の高い夏季の海水でも検出されます。魚を水揚げする漁港にみられ、食材としては魚介類が汚染されている可能性があります。
症状
喫食後8~24時間で発症。症状は、腹痛、下痢、吐き気、発熱などです。稀に粘血便。
予防
- 真水に弱く水道水でよく洗う事
- 魚介類の低温保存(10℃以下、刺身は4℃以下)
- 調理後なるべく早く食べる
- 調理後の器具の洗浄
- 「生食用」の表記のものだけ生食
腸管出血性大腸菌(細菌性)
O157などを主にした細菌です。牛や羊など、家畜の腸管内に生息しています。これらの糞便の菌が食肉を汚染し感染源になることが多いです。食品や飲用水も原因になっています。
症状
3~8日の潜伏期間です。下痢、嘔吐、発熱、腹痛などです。重症化すると激しい腹痛&血便、溶血性尿毒症症候群、脳症等を発症する場合もあります。
予防
- 食肉の過熱は中心部まで行う
- 生野菜はよく洗う
- 調理器具の洗浄
- 未殺菌の水は使わない
- 食品は低温で保存
カンピロパウダー(細菌性)
患者数や事件数が多い細菌です。家畜、ペット、野生動物に生息しています。特に鶏の保菌率が高いです。鶏肉の生食は控えた方がいいでしょう。ギランバレー症候群との関係も指摘されています。
症状
2~5日の潜伏期間です。水溶性の下痢、腹痛、吐き気、発熱も見られます。
予防
- 生肉を触った器具、手はしっかりと洗浄・消毒
- 食肉の中心部まで加熱
- 未殺菌の水は使わない
ウェルシュ菌(細菌性)
人、動物の腸管内に生息し、下水、河川、土壌などにも広く分布しています。食肉に多く汚染が見られ酸素の無い環境(嫌気性)で増殖し、酸素のある大気中では死滅します。
環境の変化により芽胞と呼ばれる特殊な殻を作り、1~4時間の過熱またはアルコールなどの消毒でも効果がありません。
症状
平均10時間の潜伏期間、腹痛と下痢が起こるが比較的軽症です。
予防
- 前日調理を避け、作ったものは直ぐに喫食
- 加熱食品は速やかに温度を下げ低温で保存
- 次の日に食べるときは低温保管で提供時に加熱
- 温めなおす時はまんべんなく温めて中心部まで十分に加熱
セレウス菌(細菌性)
土、環境中などに広く生息し、穀類、香辛料、野菜、豆などから検出されます。嘔吐型と下痢型があるが国内では嘔吐型が多い。食品としてはチャーハン、スパゲティ、オムライスなどの穀類の調理品が多く、熱に強い芽胞を作る事が特徴です。
症状
喫食後1~5時間で吐き気嘔吐、下痢型は8~16時間で下痢、発熱、腹痛などが起こります。
予防
- 全日調理を避ける
- 作ったものは速やかに喫食
- 常温で保存せず冷蔵で保存する
黄色ブドウ球菌(細菌性)
人、哺乳類、鳥などに生息し健康な人でも鼻、皮膚などにしばしばみられます。化膿を起こす代表的な細菌です。食品中で増殖する際に産生する毒素(エンテロキシン)が食中毒を起こします。熱に強く100℃・30分間の過熱でも無毒化できません。
症状
2~3時間の潜伏期のあと、嘔吐、吐き気が起きます。腹痛、下痢がみられることもあります。
予防
手洗いの徹底
- 指に傷や化膿のある人は調理をしないようにする
- 調理時に使い捨てのマスク、手袋をする
- 保存する場合は必ず冷蔵する
- 調理後が早めに喫食する
ボツリヌス菌(細菌性)
自然界に広く分布し、多くの原材料が汚染される可能性があります。酸素を嫌う為、瓶、缶詰、レトルト商品などで食中毒が起こっています。熱や化学物質などに強い芽胞を細胞内につくる毒素型の食中毒です。そのためレトルト食品や缶詰の製造などには超高温加熱が必要。
症状
8~36時間の田ぷく期間です。最初は胃腸炎症状、ついで様々な神経麻痺症状が現れます。重症例では呼吸困難に陥り、死に至ることもあります。微生物が生成する毒素の中でもっとも致死性が高いと言われています。
予防
- 新鮮な原材料を使い、十分に洗浄する
- 120℃、4分間と同等以上の殺菌処理をする
- 冷蔵商品は必ず冷蔵する
参考:食品衛生責任者ハンドブック第2版 公益社団法人日本食品衛生協会
終わりに
他にもアニサキスなどの寄生虫による食中毒なども存在します。今回ご紹介したものもごく一部に過ぎません。ついつい忙しくて食材を放置したり、同じトングや箸で触ってしまったり、同じ調理道具を使ってしまう可能性のあるキャンプは特に気を付けないといけませんね。
楽しいはずのキャンプでこんなつらい思いをしたら・・一生分のトラウマになるかも知れませんから。
最初に皆で箸やトングの使い方や食材の注意点を共有しておくのがいいかもしれません。子どもに教えて危機管理能力をもって貰うの事も大事です。
気にしすぎる事は無いのですが「備えあれば憂いなし」という事で、くれぐれも食中毒に気を付けながらキャンプライフを楽しみましょう!